2023/7/4
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『精霊の国の死生観』
日本人と価値観が似ていると言われているケルト人は、紀元前1200年~前500年頃の中央ヨーロッパの地を起源として、ギリシャやローマと交易しながら、鉄製武器と馬車(戦車)を用いた勇猛な武力、渦巻文様の装飾品を生み出す美術など、多方面で隆盛を誇ったそうです。その後、ゲルマン人、ローマ人、アングロサクソン人の台頭と支配の歴史の中で、厳しい気候条件のアイルランド、スコットランド、西端のウェールズに、ケルト文化は残存していきました。
ケルトの神話で人気の「アーサー王」は「アルトゥス(熊)」が名前の由来だそうです。古代からケルト人には動植物を慈しむ文化があるようですが、そんなケルト人の特徴の一部は、
- 祖霊や精霊の崇拝
- 魂の不滅性と生まれ変わり
- 神々や精霊と生きる現実感
これらは日本人の感性と似ていると思いませんか。
現代社会が合理的で和洋折衷の文化の中にあっても、今も日本人が、霊的な存在を曖昧のままにして、お盆には実際にご先祖様が帰ってくるかのように供養するところは、ハロウィンの起源であるケルト文化とも似ています。
ご葬儀やご法事が、合理化・現代化されている日本ですが、「人が亡くなったらどこへ行くのだろうか」という答えが非合理であったり、ずっと聞き伝わる仏教的・神道的な答えであっても、そこには日本らしさがあって、そのままで良いんだと、精霊や魂と生きるケルト文化の人と日常が、語りかけてくるようです。